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2026/10/02 コラム

執行猶予の取り消し事由とは?再度の執行猶予が認められる条件を弁護士が解説

執行猶予判決を受けたとしても、猶予期間中の行動次第では執行猶予が取り消され、猶予されていた刑の執行を受けることになる場合があります。また、保護観察の有無などの条件を満たせば、再度執行猶予が付される可能性もあります。本記事では、執行猶予の取り消し事由と、再度の執行猶予が認められるための要件について、刑事事件を多く扱う弁護士の視点で解説します。

執行猶予とは(おさらい)

執行猶予とは、有罪判決を受けた場合に、一定期間刑の執行を猶予し、その期間を何事もなく経過すれば刑の言渡しの効力自体を失わせる制度です。刑法25条により、3年以下の懲役・禁錮(2025年の法改正後は拘禁刑)または50万円以下の罰金の言渡しを受けた場合で、一定の要件を満たせば、1年以上5年以下の期間、刑の執行を猶予することができます。詳しくは当サイトの執行猶予に関する解説ページもあわせてご覧ください。

執行猶予の取り消し事由(1)必要的取消

執行猶予が必ず取り消される場合として、刑法26条は次のような事由を定めています。

  • 猶予の期間内にさらに罪を犯して禁錮以上の刑に処せられ、その刑について執行猶予の言渡しがないとき
  • 猶予の言渡し前に犯した他の罪について禁錮以上の刑に処せられ、その刑について執行猶予の言渡しがないとき
  • 猶予の言渡し前に他の罪について禁錮以上の刑に処せられたことが発覚したとき

これらに該当する場合、裁判所の裁量の余地なく、執行猶予は必ず取り消されます。

執行猶予の取り消し事由(2)裁量的取消

これに対し、刑法26条の2は、裁判所の裁量により執行猶予を取り消すことができる場合を定めています。代表的なものは次のとおりです。

  • 猶予の期間内にさらに罪を犯し、罰金に処せられたとき
  • 保護観察に付された者が遵守事項を遵守せず、その情状が重いとき
  • 猶予の言渡し前に他の罪について禁錮以上の刑に処せられ、その刑の全部の執行猶予の言渡しを受けたことが発覚したとき

特に保護観察付き執行猶予の場合、遵守事項違反が繰り返されたり、その内容が悪質であったりすると、裁量的取消の対象になりやすい点に注意が必要です。

執行猶予が取り消されるとどうなるか

執行猶予が取り消されると、猶予されていた刑の執行を受けることになります。たとえば懲役1年・執行猶予3年の判決を受けていた場合、取消しが確定すると懲役1年の刑が実際に執行されることになります。さらに猶予期間中に犯した罪について別途刑が科されている場合は、その刑と合わせて執行されることになるため、結果として長期間の身柄拘束につながるおそれがあります。

再度の執行猶予とは

執行猶予中に罪を犯してしまった場合でも、一定の要件を満たせば、再度執行猶予が付されることがあります。刑法25条2項は、以下の要件をいずれも満たす場合に、再度の執行猶予を認めています。

  • 言い渡される刑が1年以下の懲役・禁錮(拘禁刑)であること
  • 情状に特に酌量すべきものがあること
  • 前刑について保護観察に付されている場合は、その期間中に更に罪を犯したものでないこと

通常の執行猶予(刑法25条1項)と異なり、再度の執行猶予は要件が厳格であり、特に「情状に特に酌量すべきもの」という要件は、単に反省しているというだけでは足りず、犯行の経緯、被害弁償や示談の有無、再犯防止に向けた具体的な環境調整など、裁判所を説得できるだけの事情を積み重ねる必要があります。

また、再度の執行猶予が付される場合は、必ず保護観察に付されることになっており(刑法25条の2第1項)、単純執行猶予(保護観察なし)は認められません。

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2025年の刑法改正と執行猶予への影響

2025年6月1日に施行された改正刑法により、従来の懲役と禁錮が「拘禁刑」として一本化されました。執行猶予に関する刑法25条・25条の2・26条・26条の2についても、懲役・禁錮という文言が拘禁刑に置き換えられていますが、執行猶予や再度の執行猶予の要件・取消事由の基本的な枠組み自体が大きく変更されたわけではありません。もっとも、拘禁刑では作業が義務ではなく指導に基づく処遇に見直されるなど、刑の内容面での変化があるため、今後の運用や裁判例の集積を注視する必要があります。

まとめ

執行猶予は、猶予期間中の生活態度や遵守事項の遵守状況次第で取り消されるリスクを常に抱えている制度です。特に保護観察付き執行猶予の場合は、遵守事項違反の積み重ねが裁量的取消しにつながりやすいため、保護観察官との関係を含めた日頃の対応が重要になります。

執行猶予の取り消しが心配な方、執行猶予中に再び罪を犯してしまい再度の執行猶予を目指したい方は、できるだけ早期に刑事事件を扱う弁護士にご相談ください。

   

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